平成15年11月28日(金)午後2時00分〜午後3時05分
関内駅前第二ビル2階特別会議室
村上委員長、北田委員、斎藤委員、寺嶋委員、中村委員、(西谷委員欠席)
総務局公共事業調査部長、総務局契約部長、建築局建築部長 他
1 配付資料の説明
2 質疑応答
○主な意見・質問等(委:委員、事:事務局)
委 質問を受ける前に説明すべきことがある。損害賠償条項の設定について、「裁判所の損害認定を基準とし、10%とするのが適当である。」と記載している。一番正しい基準は裁判所の判例を見るのがよいと考え、裁判所の判例について、和解となったものを含めて調べてみた。その結果、10%が最大だと思っていたが、今年の6月に徳島地方裁判所の判決で20%というものが出ていることがわかった。判決の上限にあわせたいと考えていたので、設定する率については委員長と事務局の間でつめさせていただき、決定したいと思うが、それでよいか。
委 最終答申案は、だいたいは前回の議論で、基本的に了解が得られていた内容であると思う。
委 「不正行為の防止策の構築」の問題で、指名競争入札と一般競争入札の制度について、一般競争入札が原則で指名競争入札は例外であるとよく聞く。確かに現行法にはそう書いてあると承知している。しかし、明治22年に会計法が制定されて、施行されたときは一般競争入札であった。その後、一般競争入札の弊害があまりに激しいので、例外規定として指名競争入札制度が導入された。この制度が施行されてから、例外規定ではあるが入札制度の中心的な役割を果たしてきた。それが100年近い年月をかけて、若干の改正をされながらも定着し、機能を果たしてきた。したがって、指名競争入札が基本であって、一般競争入札が例外であると考えている。 平成6年にアメリカが貿易摩擦からいろいろな問題を要求してきた。その中の一つが一般競争入札制度の導入と独占禁止法の強化である。当時の建設省は、日本の様々な状況からなじまないものとして断ってきたが、結局平成6年4月から経過措置もなしに一般競争入札が導入され、業界に混乱を巻き起こした。現在でもまだ日本では、一般競争入札制度が定着し、機能していくには難しいと思っている。したがって、現代でも100年近く続いてきた行政の方針を生かして、指名競争入札制度を守って欲しい。指名制はできるだけ無くしたいという考えのようだが、いまだ一般競争入札制度は機能していない。現在のように混乱の状況の中では、指名制度を適正に運用することが大事であると思う。 格付の問題については、経営事項審査制度、ランク制、ランクに対応する金額の設定という一連の段階を経て、格付によって発注されてきた。それぞれのランクに応じた市場というものが形成されてきた。その工事能力を基準とした、限定された範囲の中で、競争が行われることが望ましいと思うし、今までもそれで建設業界は経営の維持が行われてきた。 低入札価格調査制度は、理論的には最低制限価格制度よりは合理的に見えるが、現実に機能しているかというと、最低制限価格制度の方が機能している。低入札価格調査制度が定着するにはまだ相当に時間がかかると思う。したがって、最低制限価格を守っていく方が正しいと思う。 共同企業体については特に反対はしないが、共同企業体はこれからの建設業界の将来のありようとして、一つの足がかりになるのではないかと、またそのようにしなければならないと思う。将来、建設業界も再編しなければならないと思うが、その時に足がかりになると思う。また、混合入札を実施すると競争性を損なうという考え方には疑問があり、賛成できない。
委 前回の議事録においても、現在は建設業者の能力が上がってきたので、一般競争入札を行うべき時期を迎えたという意見もあったが。
委 平成6年から一般競争入札が建設業界の課題になって、目の前に突きつけられていたのであれば、また、現在のように経済状態が変動する中で、一般競争入札をすでに実施している10年という期間は大きいのではないか。今のような経済状態の中で、業界も変わらなければいけないのではないかという印象を受けている。猶予期間がずいぶんあったのだと思う。
委 日本も変わらなければいけないと思う。今のままで良いとは思っていない。問題はどういうふうに変えていくかということである。
委 指名競争入札は長年続けられてきたことだから、うまく機能すればとても良い制度だと思う。しかし、残念ながら、談合がはびこっていると思わざるを得ないような今の状況の中では、もはや維持できないのではないかと思う。その点では答申の案によった方が良いと思う。事務コストについては電子入札が導入されればなくなるわけで、時代の流れであるから進めるのがよい。その中で予想される弊害については別の手だてを講じてもらえば良い。この委員会に諮問された目的は不祥事の防止を第一としており、限られた中での競争制度というのは維持できないような時代に来ていると思う。
委 電子入札についても反対である。今、行政は価格以外の要素を強く持たせた総合的な競争を試行している。電子入札は完全な価格競争そのものであり、今の方向とは相反する。その結果は業界の荒廃であり倒産に結びつく。こういう制度が果たして良いものだろうか。価格競争以外の要素を加味した制度が望ましいと思う。行政はいつもそう指導しているが、電子入札は反対のことであると思う。価格競争の入札をやれということではないと、自分なりに考えている。国土交通省は公共工事の発注に電子入札を一番先に活用してきたが、その点はどうかと思う。横浜市は全国の中で一番遅くやることになりそうだが、それは横浜市の見識だと思う。何も知恵のないところは電子入札が一番簡単で、説明がつきやすいのだと思う。建設工事というのは信頼関係が形成されて初めて機能するものであるが、これはまったくそういうものを無視したやり方である。
委 今回欠席している委員の今までの発言は、基本的に一般競争入札を促進すべきであると言っているように思う。そういう意味からも、私個人としても、問題が発生しないとは言い切れないが、一般競争入札や電子入札は時代の流れであると思うし、他の自治体も行っている。横浜市だけが違うことをやっていくことは難しいと思うので、委員の意見は議事録に残すことに止め、最終答申としては、原案で了承いただきたい。
委 委員の一人として委員会の結論には同調する。それについての共同責任も負う考えでいる。
委 委員会としては、この最終答申案で了承したということにする。 なお、字句の点ではより良い表現にすること、及び損害賠償の設定率を10%にするか20%にするかについては、委員長と事務局において再度見直しをさせていただくので一任して欲しい。 今後のスケジュールについて事務局から説明して欲しい。
事 12月2日に最終答申を市長へ報告し、その答申を受けて、平成16年1月から3月にかけて実施レベルの案を行政側が作成する。できるものは16年4月から新しい制度に移行したいと考えている。方向性が決まり、あるいは実施の段階になった時点で、委員の皆様には報告させていただきたいと考えている。
委 最終答申を市長に手渡すときに、中田市長に対して、今回の案は政令市の中で最も改革が進んでいる都市と比較しても、同等のレベルの改革案となっていること、今後、答申の内容については関係業界等の協力を得て、できる限り円滑かつ速やかに実施されることを、委員会として切望していると申し添えたいと思っている。