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横浜市入札・契約制度改革検討委員会議事概要(第5回)

【日 時】

平成15年11月13日(木)午後2時00分〜午後5時00分

【場 所】

関内駅前第二ビル2階特別会議室

【出席委員】

村上委員長、北田委員、斎藤委員、寺嶋委員、中村委員、西谷委員

総務局公共事業調査部長、総務局契約部長、建築局建築部長 他

【議 題】

1 配付資料の説明

2 質疑応答

○主な意見・質問等(委:委員、事:事務局)

委 アンケート結果等を見ると、業界団体の意見と事業者アンケートでは若干、違うところが出ているように思う。例えば、受注状況、郵便入札、価格の事前公表については、必ずしも反対が強い訳ではない。

委 指名停止措置と入札参加資格の取消し又は停止について、「効果は同様であるが」という記載があるが、どういう意味か。また、違う点はないのか。

事 業者としては入札に参加できないという意味で、効果は同じであると考える。指名停止の場合は資格が残っているので、登録業者として営業ができ、停止期間が過ぎれば入札に参加できる。資格の取消しを行うと、再度登録しなければ入札に参加できない。

委 再登録について何らかの制限、例えば取消し後5年間は登録できないとかの規定はあるのか。

事 現状ではそのような規定はない。

委 資格取消しの方が裁量によって強い罰として機能する可能性があるように思う。指名停止は裁量の余地がないように思う。

委 この問題の論点は、再登録の際に条件を付けるかどうか、という点に絞られる。ここで問題としているのは、どの程度厳罰に処するかどうかという点にあると思う。

委 このメンバーで12か月とか24か月とかを決めることができるのか。委員会では厳罰化すべきという方針を出して、後は当局に具体化してもらうべきだと思う。

事 厳罰化という提言を中間答申でいただいている。厳罰化のイメージとしては、法令で2年間が限度になっているので、そのあたりをにらんでということになると思う。答申で厳罰化ということをいただければ、後は他とのバランスを考えながら、12か月にするのか、24か月にするのか、事務的に要綱を作成していくことになる。

委 最大限24か月ということを含んで、案を作成してもらうことでよいか。

委 横浜市では現在でも、当該発注機関の代表役員による贈賄については最大24か月となっている。違反行為の態様によって軽重をつけている。独占禁止法違反は軽くなっているように思うが。

事 贈賄については職員が関わってくることになるので、最大の24か月を規定している。独占禁止法や談合・競売入札妨害は必ずしも職員が関わる訳ではないので軽くなっている。今回は競売入札妨害に職員が関わってしまったので、評価する対象の不正行為とは何なのか、ということで、この辺まで広げざるを得ないと考えている。

委 態様によっていろいろあると思うが、最大は24か月として、条件によって軽重をつけるということでよいか。

委 横浜市の条件設定はずいぶん細かいように思う。

委 事業者の大小によっても違うと思う。スーパーゼネコンの代表者が横浜市の工事で不正行為を行うとも思えない。

事 相手は法人なので、代表者とか使用人とかで分ける必要はないかもしれないが、現状は国土交通省の規定に準じて作成しているのでこうなっている。

委 ご指摘はもっともなので、簡素化する方向で検討して欲しい。

委 損害賠償条項の設定について、他の都市は一般的に10〜20%と出ている。

事 具体的には裁判例でもあるように10%が適当であると考えている。今回のことを踏まえて、より予防的な効果も期待したいと考えている。他都市は10〜20%であるので、20%にしてもよいかと思う。

委 10%というのは確定値か。実損額が出た場合はそれ以上の請求もできるのではないか。

委 解釈としては損害賠償額の予定で、その金額で固定すると思う。実損額が多少上であろうと下であろうと、基本的にはその額で決まりと考えてよいのではないか。

委 実際は20%あった場合には、10%で良いというのは、かなり思い切ったことになると思う。

委 裁判でも損害額というのは訴訟法上確定することができなくて、裁判官の裁量で認定している。実際に損害額を実証するのは非常に困難なので、そういったケースはでてこないと思う。

委 こう決めたことが業者にとって酷になりすぎる、あるいは市の損害が大きい場合には住民訴訟ということもある。その辺をわれわれは理解した上で、10%とするか20%とするか、決めるための説明がいるのではないか。

委 10%としている都市が多いのは、裁判所が認定している額は10%が上限となっているからではないか。そういう意味では論拠のない数字ではないと思う。

委 談合問題の罰則についても、期間の長さに関する判断の基準は何かというと、談合というものを、建設工事、公共工事、建設業に関する受注の仕組みの中で、どう考えるかということである。本質的にその問題が解決しないと、どのくらいが適当かということは言えないと思う。談合の問題についても、基本的には談合の性質の問題である。これは行政の問題ではなく司法がどのように判断するかであると思う。独占禁止法についても問題がないわけではないと思う。独占禁止法が強化されたのも平成6年に建設レビューでアメリカから押しつけられたから2倍になったものである。純法律的な問題ではないと思う。

委 立証が困難だから賠償額の率を入れるのは仕方がないと思うが、立証できるのであれば「損害額を請求することを妨げない。」という規定があっても良いのではないか。

委 10%か20%で決めなければならないと思う。また、損害賠償の規定は、市にとって「しなければならない」のか「できる」規定なのか。契約解除規定はどうか。

事 損害賠償については、「しなければならない」とするが、契約解除は「できる」規定になると思う。

委 数字としては10%又は20%のどちらかで良いか。

委 要件はどうなるのか。どのような場合に適用されるのか。

事 他都市の例にあるが、不正行為の中身による。独占禁止法違反があたる。談合により価格がつり上げられているといったものを対象にしている。

委 立証が難しいと思うが、立証できた場合に行うのか。

委 実際には検察庁や公正取引委員会が事件として立証できた場合か、それに準ずる場合になると思う。

委 確定額を入れるということが、ひとつの大きな進歩であるが、10パーセントが良いか20パーセントが良いかはわからない。

委 今や建設談合というのは、法律上犯罪行為であるというのは確立されていて、談合を行えば刑事告発されて刑事罰を受けることになる。今のところは、個人制裁は執行猶予付きの判決になっているが、いつ禁固刑なってもおかしくないというのが現在の情勢である。

委 資料に「入札等監視委員会の基本的機能とは、入札・契約適正化指針に規定されている機能」とあるが、指針とは何か。

事 指針とは、入札契約適正化法の指針のことである。

委 実は後でお願いしようと思っていたのだが、入札契約適正化法の指針にはいろいろな方策が出ている。今回の議論は、その指針とどう対応しているのか。指針では談合情報の取扱いについて、談合情報取扱要領を作って公表しなさい、と書いてあるが、横浜市では要領を策定しているのか。

事 横浜市では策定していないが、これから策定することになる。

委 指針に規定されている機能とあるが、その方向でよいか。

委 一般競争入札の拡大は良いが、いくらまで実施するかということは、私は言い切れない。ただし、拡大の理由については言及できる。会計法、自治法ができた時代における建設業の技術力に関する信頼性に不安があったため、指名競争入札制度を採用してきた。しかし、現代においては、技術力に関する信頼性はそれなりに高まってきているので、一般競争入札を拡大することについて理由がある。

委 一般競争入札の拡大について、いつまでにどこまで拡大するか、ということについては、ここでは議論しがたいということですね。 横浜市では、どこまで考えているのか。

事 今回の改革検討委員会においては、「不正行為の防止策の構築」における「一般競争入札対象範囲の拡大」については、入札参加者数を増やすことにより談合等の不正行為の防止を図る意味から、一般競争入札の拡大を行っていく趣旨であって、具体的には、現在進めている電子入札の本格実施が平成17年度の後半になると思うが、その頃には、原則的に一般競争入札にしていきたいと考えている。ただし、それまでの間にステップがあると思うので、段階的に拡大していくことを想定している。

委 電子入札が導入される時期には原則として一般競争入札とし、それまでの間は、段階的に考えていくということですね。他の都市と比較してみても、1億円以上とか3億円以上とか、どんどん下がっているので、順次下げていく形になると思う。

委 平成17年度後半になるであろう電子入札の導入に伴って、すべての案件を一般競争入札で行いたいということか。

事 原則的なものについては一般競争入札でいきたいと考えている。

委 それに至るまでの間は段階的に一般競争入札の案件を増やしていきたいということか。平成17年度後半、18年度の初めといっても良いが、あと2年少ししかない。大した時間があるわけではないが、最終の目標が見えていて、それにあわせて段階的に拡大していくということは、かなり具体的な方針になっていると思う。今の段階で、何をいくらということは言う必要がないと思う。

委 時代が大きな流れの中でそのように進んでいるので、建設業者も新しい考え方で対応すべきであると思う。ただし、今までは経審の点数に基づくランク制、そのランクに対応する金額というやり方で市場が形成されていた。その市場が急激に変化すると業界は非常に混乱する。その結果、公共工事の目的を達成することができなくなる可能性がある。段階的に移行してもらうことにより、業界も新しい制度に対応していくことができると思う。

委 ISO9000シリーズ認証取得などは指名基準に記載されていないが、指名基準に入っていないのか。

委 現実に建設業界でISOを取得している事業所があるのか。

委 ISOを基準とすることは良い。国土交通省はISOを取得していないと一定の入札に参加できないなどの条件を付けている。横浜市には現在、そういう条件はない。ISOをとるために事業所はいろいろと努力しているし、お金もかかっている。あまりやりたくはないのだが、業界が良くなるための一つの方策ではないかと思う。

事 資料に6頁に載っている指名基準は現行のものであり、ISOや障害者の法定雇用率の達成度などについては、自治体によっては経審の点数である客観点以外に、主観点として点数を上乗せして、上位ランクに入れているところがある。国においても、参加条件の一つとして採用していることもある。主観点の要素として取り入れることはできるのではないかと考えている。

委 先程の一般競争入札との関係で、比較的近い将来に一般競争入札を原則とするため、指名競争入札は縮小されるのに、指名基準の問題の重要性というのは、指名基準が形を変えて入札参加資格などに利用されるからなのか。

事 入札参加条件として利用することはある。

委 それで、今現在でどう考えるかを論議するわけですね。

委 指名競争入札が残っている間は、短い間でも見直ししていかなければならないと思う。裁量性、競争性ということで、資料には載っているが、この項目についてなるべく早く見直していくということでよろしいか。予定価格の事前公表の拡大について、横浜市としては、どのように考えているのか。

事 最低制限価格・低入札調査基準価格の事前公表とも関連するが、いろいろと業界サイドから言われているダンピング、不良不適格業者の参入などについて、10月までの試行実績にはそういった結果が現れてきていないと理解している。そういった状況から判断すれば、さらに様々な情報を公表することによって、不正行為の防止に役立てるためにも、さらに拡大すべきであると考えている。できれば、すべてについて公表するくらいの覚悟をしておいた方が良いと思っている。

委 政令指定都市の中でも、すべて公表というところが多い。こういうところで神経を使うよりも、もっと他のところで力を尽くしてもらう方がよいと思う。できればすべて公表する方向でやって欲しい。それで不具合が出れば、その時点で対応すればよい。

委 最近は手段が目的化しているように思う。建設工事というのは複雑で多種多様なものであり、一つ一つの現場が違う。その中で、どういう業者が入札に参加するかを選定していくことが大事なことである。良いものを作るためには何が何でも多くのものを参加させて競争させれば良いというものではないと思う。ある特定の業者、10〜15者というのが常識的な数字であるが、その業者を選んで、入札をさせ、良い仕事を残すというのが良いと思うから、指名というものを大事に考えていただきたい。予定価格の公表については、基本的には反対である。積算というのは建設工事にとっては工事に入っていると考えても良いくらい大事な作業である。予定価格を公表するということは、一番大事な積算行為が欠落してしまう可能性がある。もちろん、建設業者は予定価格が公表されても積算を行うが、場合によっては積算しなくても入札に参加することは可能であり、しかも、落札することもできるかもしれない。工事の受注をそういう風な形でしても良いものだろうか。入札参加を希望する者は、まず積算をしっかり行ってどうやって経費を出すか、どの程度で落札できるだろうかということを考えている。今は過当競争の時代であり、仕事がないので、業者が多いから予定価格をねらっていっても仕事をとれない。最低制限価格をねらって仕事を受注することになる。最低制限価格を公表すると、ダンピングを誘発する制度になってしまう。

委 予定価格の公表については反対する理論も理屈のうえではあると思うし、いろいろ議論の分かれるところではある。しかし、この委員会のメンバーとしていうと、今までやったところではそれほど弊害がなかったということ、他の政令市でも多くが行っているところなので、予定価格については公表して良いのではないかと思うが、それでよいか。

委 民間が発注する場合はお互いにオープンで発注している。ネゴシエーションで決まっていくものである。公共の時にどうしてかというと、競争ということ、公共工事だから機会を均等にして最も良い者を選ぼうではないか、ということから入札制度が出てきている。入札制度と価格を隠すということは直接には関係ないと思う。価格はオープンにしても競争を維持するという一点さえ残れば、むしろ一般に相対で価格を相談しながら最良のものを求めていくという世界と考えて良いのではないか。ただ若干気になるのは、国の場合は予決令により隠すということになっている。自治体にはそういう規定はないのでオープンになっている。今はギャップがあるが、やがて国もオープンにするのではないかと思う。民間工事を頭に置いて、市場でもって価格を決めていくこと、相対でオープンにして価格を決めていくことは、そのことによって公共工事の特性である競争を阻害するものではないと考える。

委 予定価格の事前公表についてはそれでよろしいか。むしろ、最低制限価格及び低入札調査基準価格の事前公表の方が、さらに深刻な話になると思う。

委 横浜市では予定価格の事前公表を今年の4月から試行している。まだ半年ちょっとしかたっていないので、まだ検証の段階である。これが1〜2年やった後で、もう少し拡大していこうというのなら話は分かるが、今の時点での拡大はどうかと思う。

委 最低制限価格等については計算式も公表されており、予定価格が公表されていて、積算が予定価格に近づいていれば、当然に最低制限価格は計算できる。また、土木工事ならだいたい何%、建築工事ならどれくらいと、予定価格の何%かは推定できる。だから今、最低制限価格を公表することは賛成できない。

委 予定価格を公表すれば最低制限価格も事実上ある程度推測がつくということか。

委 予定価格そのものを無くせば一番良いのかもしれない。予定価格が問題となる場合が多い。低入札価格調査制度については、横浜市がWTOで採用しており、国は全部そうである。この制度は一見合理的ではあるが、今この制度を採用すると、契約価格が際限なく低落する。最低制限価格を維持して欲しいというのは、それがダンピングの一つの歯止めになっているからである。ダンピング的な行為がなくなれば、低入札価格調査制度は良いが、それまでは最低制限価格制度を守って欲しい。予定価格も最低制限価格も理論的には不合理な面があるが、今はそれが大事な歯止めになっている。低入札価格調査制度を導入すると予定価格の50%くらいまで下がってしまうと思う。横須賀市でも長野県でもそこまで落ちているから、少し低すぎるから戻す方策を検討している。低入札価格調査制度を導入すればそうなると思う。

委 特に低入札調査基準価格の方については、後でもう一度議論することになると思うが、調査するわけであるから、一律で切ってしまう最低制限価格制度に対して優れたシステムであるといえる。そこで何を調査するか、という基準に裁量が入る危険はあるが、その点さえしっかりすれば良い制度である。したがって、低入札調査価格制度は、少なくとも試行で実施するとともに、調査基準価格を公表すべきであると思う。

委 確かに良い制度ではある。ただし、調査基準価格を割れば調査を行うわけであるが、この場合、この価格でできるのかといった問いに対して業者ができるといってしまえば、断られない。最近、ようやく日本でも低入札調査価格制度により、ものすごく低い価格での応札を失格としたケースがあるが、実際にそういうことはまれである。つまり、実際にはほとんど機能していない。予定価格があるのは日本だけで、他にはない。基準価格は設定するだろうが、予定価格が上限であるという国は他にはない。最低制限価格は下限であり、3分の2から85%の間で設定している。

委 価格の公表については異議がないと考えていた。最低制限価格の決め方とか、低入札価格調査制度を導入するか、といったところに議論が集中すると思っていた。

委 確かにすべて公表すれば、役所から漏れると言うことはなくなるが、それだけをねらってということでは、あまり意味がないと思う。むしろ、低入札価格調査制度の検討をした方がよいと思う。

委 今は価格競争である。価格競争でない競争の仕方を検討していると思うが、価格と同程度の重要性を持った価格以外の条件を使った入札方法がある。

委 アメリカ・ヨーロッパではいわゆる予定価格制度がない。予定価格制度を入れるとこういう話が出てくる。

委 業者の格付けは、こんなに細かく分けなければいけないのか。業者にとっても、伸びたい業者はもっと上をやりたいという意向があるのではないか。登録時に能力があると見られるのであれば、より簡素な形で、要件を緩和して良いのではないか。

事 土木は5段階あったものを13年度に4段階に変更している。もう少し整理をしないと行政の恣意性も入るし、業者側も受注の機会や、上限金額を切られてしまうので、努力が報われないということにもなる。もう少しラフな形にしたい。例えば2つくらいに、工種によっては新設の対応ができる業者と維持管理の業者といった具合に区分けができるのではないかと思っている。

委 2つか3つといった議論はあると思うが、今はあまりにも細かいといった感じなので、見直す方法でよいか。競争促進的要因の拡充については、業界団体等からも特に反対の意見はなかったと思うが、委員の皆さんの意見はどうか。

委 発注者として、横浜市では工事成績評定要領が制定され、また公表されているのか。

事 制定されており、公表もしている。

委 工事ごとに検査をしていると思うが、すべて公表されているのか。

事 要領と検査結果の総合点数は公表されている。

委 できるだけ透明性の高いように要望する。

委 成績に関して苦情は出ているのか。

事 対話会の時に各団体から、同じ仕事でも場所によって、人によって点数が異なるので統一して欲しいという意見はあった。そうならならないように努力はしているつもりだが。

委 前提として、検査能力の向上及び厳格に行うことが求められている。また、優良表彰業者及び災害協力業者の評価基準を明確にしたうえで、優遇するなら優遇するということでよいか。

委 低入札価格調査制度は、まさに調査能力、技術力が必要な制度であるが、対応は大丈夫なのか。

事 件数の問題はあるが、今はWTOの案件で低入札価格調査委員会も持っている。さらに件数が増えた場合には、行政内部で調査をするシステムを作る必要がある。

委 低入札価格調査制度を導入した場合、調査基準価格はどのくらいの水準になるのか。

事 現行制度では最低制限価格と同一であり、70〜85パーセントの間で、工事ごとに決めることになる。

委 調査を行って失格になったという例は、先程の意見のようにほとんどないのか。低入札価格調査制度を導入している自治体の例でよい。

事 大阪府や広島市を例に取れば、確かに業者が「できる」といった場合に、それでもだめだ、とはなかなか言えないというのは事実である。しかし、だめにした事例はないかというとそうではない。基準をきちんと設けて、基準に満たない入札はだめにすべき。その基準というのは、業者がその工事で利益を上げられるかどうか、赤字受注でないかどうかを判断して、赤字であると判断された場合に失格となったのが何件かある。基準をどこに置くかというのが一番問題となる。

委 国はすべて低入札価格調査制度である。

委 ひどいものだと予定価格の半分以下で低入札価格調査制度により契約する場合がある。半分で仕事ができるわけがない。おそらく機能しないというのはそれが理由である。どうしてそのようなでたらめな契約をするのか、また、発注者もそれでやらせるのか。積算とは、予定価格とはいったい何なのか、ということになる。積算する人は一生懸命積算をして、これでいい仕事ができるという金額になる、当然そうあるべきだ。ところが現実はなかなかそうではない。問題があると思う。正常な良い入札のやり方、正常な良い契約の仕方ではないことは間違いないと思う。

委 50何%とか60%を切っているとすると、仮に短期的には、途中で放り投げたとか、下請が事故を起こしたとか、そういったことがすぐには発覚していないとしても、当初の設計価格は何だったのかということになる。設計価格がそもそも違うということであれば話は違うけれども、設計価格の6割を切るような価格は果たして良いのかなと思う。ただ低ければいいという理論にはどうも。例外はあると思うが。

委 例外はあるかもしれない。

委 赤字覚悟でもとるところが出てきているだろうとは、よく言われている。

委 やむを得ない赤字受注というのは、それ一つなら目くじらを立てることはないのかもしれないが、契約するみんなが赤字受注であるというのは正常な価格とは言えない。

委 横浜市の方針としては、拡大して的確に使うということでよいのか。

事 最低制限価格というのは、一律で切って、それ以下の者は失格にする、というのもので、制度として好ましくないと考えており、できれば低入札価格調査制度を拡大して、それを割った場合には履行能力を調査するというのが、契約の相手方を決めるのには理想的なのではないか。

委 反対から言えば、価格を調査したり、工事をする技術なりをチェックする能力をきっちりつけてもらうというのが、前提になると思う。全国にこれだけ地方自治体がある中で、政令指定都市の横浜市がそれをチェックする技術力を持たないという言い訳は通らないと思う。

事 いろいろな事業をやっているので、多少のレベルの出っ張り引っ込みはあると思うが日々研さんに務めている。他の都市に引けを取るようなことがあってはならないという気持ちだけは持っている。その意味での研さんは積んでいかなければならないと思っている。

委 予定価格の積算の検証という意味でも、低入札の場合に調査をしてみるということが必要だと考えている。

委 バリューエンジニアリングについて、具体的に入札時にしても契約時にしてもVEというのはどういうものかという説明をお願いしたい。実際に動くときにはどうやってやるのか、ということについて。

事 今、横浜市では契約後VEというものを試行している。これは、契約の後に、設計図書記載の工法に限らず、請負業者から、こうすればより良い合理的な工事ができるということを提案してもらう制度である。そのことによってコストダウンが図られるということが前提になっているが、コストが削減されるということで採用されれば、コストダウン分を請負業者と発注者で山分けするみたいな形で、インセンティブを与えようという制度である。今は契約後だが、入札時というのは入札時に、設計図書を見たときに設計変更を前提に行う。できるだけ早い、上流部分でやればそれだけ効果は上がる。

委 現実にある程度の成果を上げている実績はあるのか。

事 VEに指定した工事は十数件あったが、実際にVE提案があったのは、残念ながらない。

委 まさしくそこが問題なのだと思う。

委 うまくいけば望ましいと思う、契約前ならなおのことだが。

委 市としての方向性はどうなっているか。

事 先程委員からも話があったように、今の入札はすべて価格競争である。価格競争だけではなくて、民間の技術力を取り入れるといった意味からも積極的にVE提案を求めて、コストの削減にもつながる話なので、試行に難しい問題はあるが、入札時VEは行政に対するインセンティブや業者に対するインセンティブを公表して、試行をしていく価値はあると思う。実際に国などでは入札時VEをやっている前例があるので、これを見習いながら横浜市でもやっていきたいと考えている。

委 総合評価方式や設計・施工一括方式についてはどうか。他の政令市を見るとほとんど行っていないが、そんなに容易ではないということか。

事 設計・施工一括方式について言うと、今、設計と施工を分離で発注している。その中で、設計・施工一括方式にはなじみがないということになる。ただし、設計・施工一括方式が採用できるものは特定の工事に限られるのではないかと思う。すべて、誰がやっても同じようなものにまで、設計・施工一括方式を採用してもそんなにメリットが出るものではないと思う。対象事業が出てくれば、試行的に採用していく場合があると思う。

委 その中で、総合評価方式の一番の特徴というのが、最低額の入札者が必ずしも落札者とは限らないということである。これが一番談合防止には効果的である。談合というのは最低額で入札する人を決めるのだが、最低額を作っても、実際に契約するのは2番札かも3番札かもしれないということが定着すると、談合する意味がなくなる。実際には難しいのだろうが。

事 最初の時に申し上げたように、総合評価方式は外部の有識者の委員会で評価の基準を作って、それをもとに総合評価を行う事業を決めて、やっていくということになるが、決めるときは難しいと思う。新しい入札方式というのは、皆さんにお知らせしてから入札まで3か月くらい必要であり、単年度工事には適用が難しいため、なかなか進んでいないというのが実状である。

委 国土交通省は20%やるといっている。今はあまりにも需給関係のギャップがひどすぎるので、全部過当競争、ダンピングになっている。仕事が出るとおそらく最低制限価格ねらいで、全部集中する。そうなるとくじ引きになる。これではいい仕事ができない。

委 総合評価方式、設計施工一括方式については、大きな技術力のある国が最初にやるべきだと思う。

委 国よりも自治体が先行してできる。予定価格の事前公表、低入札価格調査制度、総合評価方式はみな同じだと思っている。一方的に発注者、官の方が価格を決めるのではなくて、互いにネゴシエーションであるべき価格を決めていくという線をこれから大事にしていかなければならない。予定価格の事前公表についても、参考価格としてあげられたから、それを受けてどうこうしていくのであり、低入札価格調査の調査についても、総合評価についても同様である。そういう線を大事に、積極的に試行でも良いからやっていって、そこに光を照らさなければならない。

委 それが一番良い。

委 総合評価方式は非常に良いと思う。ただ、モニュメント式の大きな工事のみというイメージがあったが、そうでなくてもできるのか。

委 むしろ小さな工事の方がやり易いと思う。

委 もう一度検討して欲しい。

委 担当は基準を作るのが大変だとは思わずに、発注者と受注者が楽しみながらあるべき価格を考えていくプロセスだと思えば、そんなに難しいものではないと思う。

事 今回、群馬県の住民が業者と価格を出し合いながら、設計をやりながら、決めていくというのがあった。今のご指摘を受けて、小さい工事でも適用できるか検討したいと思う。

委 次はジョイントベンチャーについて、市としての対応、方針を伺いたい。

事 共同事業体の活用は、技術力結集など、本来の共同企業体の持つ意味のものはご提言いただいたとおり、採用していくべきであろうと思う。横浜市では、技術修得型の共同企業体を10年間実施してきたが、市内企業への技術移転が進まない中で、見直すべきではないかという意見を持っている。また、共同企業体を結成することによって競争性を増大させるものについてある程度活用しても良いと思う。さらに、共同企業体工事として指定をするが、工事によってはそういう指定をせずに、企業単体と共同企業体との混合入札を実施しても良いのではないかと考えている。共同企業体が必要かどうかは業者側に判断してもらい、選択の幅を待たせることも考えている。

委 市内企業の優先との関係は調整の必要がないということでよいか。

事 市内企業優先のところで共同企業体をどう扱うか、ということはある。しかし、入札・契約制度を前提とする共同企業体からは導き出されない話であると思う。実際問題としては、今、市内企業が技術修得型で大手と組んで、年間30〜40億は受注している。技術修得という形ではなくて、もっと単純な観点から、共同企業体の活用は考えられる。

委 監督・検査体制の充実については、やっていただくとしかいいようがない。

委 安い価格のものの場合は十分に検査を徹底してもらうとして、それ以外のものも全般強化してしっかりやって欲しい。発注者支援データベースの活用については、活用していただくことでよいか。工事の質の確保について、優良業者の一層の優遇策を検討すべきである、については問題がないと思う。

事 市内企業の優先枠について今後の問題点は、入札・契約制度をどう変えていくかというよりも、市の方針として、発注方針としてどうあるべきか、ということだと思っている。もう既に市外業者の大手ゼネコンは1者あたりだいぶ高額な金額を稼いでいる。小さな案件について、市内の中小建設業者が競って受注しているのが実態である。その中で発注方針として、市内企業の育成という観点から、入札参加条件の一つとして市内企業の設定をさせていただきたい、という議論があっても良いのではないかと考えている。

委 地元企業優先の方針は維持するということでよいか。

事 その代わり、市内企業の中では一生懸命競争していただく。競争性がないような状況であれば、市外企業を入れて一般競争でいくという観点に立たないといけないと思う。現状では市内優先の枠を条件としたい。

委 指定都市に限らず、他の都道府県を含めて地域要件をはずしているところはない。はずすとなると国の方針として全体でやるしかない。単独に自治体でできることではないので、仕方がないと思う。

委 長い目で見れば、競争をしていくことの方が良いと思う。今、横浜市だけがやめて、他は全部やっているということであれば、現実的に急にはできないと思う。地元企業を優先すべき事業というものはある。市民参加型で事業を設計の段階からやっていく方向へ大きく社会が動いているとすれば、地元業者が入り知恵を出し、市民と一緒に、また発注者と一緒に、ある道路事業、ある建築事業を一緒に考えてやっていくというものが今後増えていくと思う。そういうケースでは、最初に設計段階から入っていく業者は、多くの場合市民と接触のある地元業者となるだろう。それは当然に優先される。いわゆる設計・施工一体型入札については優先になってしまう。地元業者を優先させるにふさわしい事業が増えてくるだろう。

委 市内業者が外に出ていきたいときに、向こうに「オープンにして欲しい。」と言えない、という意見は業者の中にないのか。

委 日本の場合北から南に長いため、拠点地区から発生している。どうしても地元中心になっており、それが今は地方都市になっている。建設業者が全国で58万あるが、中小企業が99.5%、地方業者が80%である。殆どが中小企業であり、地方業者であるから、どうしても地域要件は欠かせないのではないか。地方経済も公共工事に依存している度合いが強い。地方の建設業をどうするかということは日本の政治の問題である。これで良いとは思っていないし、これからは良くなっていくと思うが、現状ではとても無視はできないと思う。

委 建設業だけでなく不動産業もそうである。不動産業で他のところへいった業者は失敗しているケースが多い。

事 力が違いすぎるので、市内企業の枠をとってしまうと、何でもかんでも大手ゼネコンにとられてしまうというのが現実で、その下請に入るということが多い。地場産業が全然育たないということにもなりかねない。建設業というのは新たな技術でどうこうなるということがない。いろいろ期間がかかるので、いってすぐ成功するということがない。せめて市内の中では競争はしていただかなければならない。

委 言い回し、表現については、多少の考慮をお願いしたい。

事 市内企業の下請としての活用について、現在は下請として市内企業を活用してもらうようお願いはしているが、今後も継続してお願いをしていきたい。

委 お願いなのか強制なのかといったところで、苦情が出てくるかもしれない。分離・分割発注の見直しについて市の方針はどうか。

事 前回は分離発注についてはご意見をいただいていないため、専門業者への分離発注は今までどおりやっていきたい。分割発注についてはご提言いただいたとおり、コスト面を考慮しない、受注機会の拡大を目的とした分割発注は行わない。

委 それ自体は異存がないと思う。市の基本方針とそれほど違わない形でとりまとめができると思うが、次回までに事務局と調整のうえ、今回の議論を加えた形で、次回に最終報告案をかけるということでよいか。

【次回の日程】

第6回 11月28日(金)午後2時から

配布資料(PDF形式349KB)

 

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