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中間答申に対する意見を聴く会
横浜市入札・契約制度改革検討委員会議事概要(第4回)

【日 時】

平成15年10月28日(火)午前10時30分〜午前11時30分

【場 所】

横浜市開港記念会館6号室

【意見陳述団体】(発表順、敬称略)

全国中小建設業協会横浜支部 支部長 阿部 清吉

横浜市電設協会 渉外委員会委員長 藤澤 光男

(社)神奈川県建設業協会横浜支部 支部長 三木 崇雄

かながわ市民オンブズマン 代表幹事 大川 隆司

(当日参加団体)

神奈川県連 神奈川土建 田中

入札妨害の真相を究明する会 矢後

【出席委員】

村上委員長、北田委員、斎藤委員、寺嶋委員、中村委員(西谷委員欠席)

【発表内容】

司会 定刻になりましたので、横浜市入札・契約制度改革検討委員会が先に出されました中間答申に対しまして、各団体から意見を聴く会を、ただ今から開催いたします。私は、横浜市総務局契約部長の三田でございます。本日は司会を務めさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
本日の進行について、ご説明をいたします。お手元の次第にございますように、本日は4団体ございます。順番に申し上げますと、社団法人全国中小建設業協会横浜支部、社団法人横浜市電設協会、社団法人神奈川県建設業協会横浜支部、かながわ市民オンブズマンの各団体から、中間答申に対するご意見をいただく予定となっております。なお、発言の順序につきましては、抽選により決めさせていただきました。
また、発言の要旨につきましては、皆様のお手元にあらかじめ資料として配布させていただいておりますので、そちらをご覧いただきたいと思います。
それではここで、村上委員長からご挨拶を申し上げます。

村上 当委員会では、現在、中田市長から諮問を受けて、横浜市の入札・契約制度について抜本的な改革を行うべく、検討を進めております。本日は私どもが10月8日に提出いたしました中間答申に対して、各団体の方々から忌憚のないご意見を直接うかがうということで、このような会を開催させていただきました。
市長からも、各団体から幅広く意見を聴いて検討するように言われております。
本日いただきましたご意見につきましては、12月に予定しております最終答申の取りまとめにおいて、貴重な参考意見として受け止めたいと考えております。入札に関するルールはルールとして、きちんと守っていただくと同時に、この問題につきましては、建設各社におきましては死活にも関わる問題だということは認識しております。私ども委員としても、本日のご意見には真剣に耳を傾けたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

司会 本日1番目にご意見を述べていただく、社団法人全国中小建設業協会横浜支部の支部長 阿部清吉様よりお願いしたいと思います。

阿部 皆様おはようございます。ご紹介をいただきました阿部と申します。よろしくお願いいたします。当協会の場合、書式を説明させていただいた方がよろしいと思いますので、簡単に説明させていただいて、本題に入らせていただきたいと思います。
社団法人全国中小建設業協会横浜支部と書いております資料についてですが、入札・契約制度改革検討委員会中間答申という2枚目にございます資料に基づきまして、私どもの考えを述べさせていただいております。先程申し上げました中間答申の下に「具体策」とありますが、この「具体策」の一つ一つ全部に私たちの考えを述べさせていただいております。その中に、所々に「現行」という言葉がでてまいりますが、「現行」とは、2枚目にあります中間答申の中の表に、「項目」「現行」「方向性の提言」と三つに分かれている中の「現行」でございます。また、矢印以降が私たちの考え方でございますので、よろしくお願いいたします。
それでは、私たちの考え方を申し上げさせていただきます。
社団法人全国中小建設業協会横浜支部横浜市入札・契約制度改革検討委員会中間答申における方向性の提言に対する見解。

提言1 不正行為の防止策の構築
1.入札等監視委員会の設置
→機能について検討、設置すべきである。
2.指名停止措置等の強化
→現行通りで十分厳罰と考える。
3.損害賠償条項の項目
→損害の定義を明確に設定すべきである。
4.一般競争入札の対象範囲の拡大
→現行政府調達協定対象工事(22.2億円以上)で実施すべきである。
5.指名競争入札における指名基準の見直し
→現行指名基準で十分競争性を高めている。
6.予定価格の事前公表の拡大
→各企業の積算能力も技術・経営力の一端であり、予定価格を事前公表すべきでない。
7.最低制限価格及び低入札調査基準価格の事前公表
→各企業のコスト削減への努力、積算能力も技術・経営力の一端であり、事前公表すべきでない。

提言2 競争性・透明性の向上
1.一般競争入札の対象範囲の拡大
→現行政府調達協定対象工事(22.2億円以上)で実施すべきである。
2.業者格付けの拡充
→企業規模、技術・経営力を考慮すると現4ランクは妥当である。
3.競争促進要因の拡充
→評価基準を明確化した上で拡充、優先すべきである。
4.低入札価格調査制度の対象範囲の拡大
→不良不適格業者の排除、公共インフラ品質確保の観点から現行を維持することが必要である。
5.多様な入札方式の採用
→現行契約後VEを含め民の力を十分に生かす方法を検討すべきである。
6.共同企業体の活用
→全体の発注量、バランス、コスト面を考慮した分離・分割発注、共同企業体を活用すべきである。

提言3 工事の質の確保
1.監督、検査体制の充実
→現行、監督・検査体制において十分に機能していると考える。
2.発注者支援データベースの有効活用
→活用範囲を拡大すべきである。
3.工事成績の活用
→優良業者の定義、基準を明確化し検討すべきである。

提言4 市内企業の活性化
1.市内企業優先枠の土俵作り
→市内地域経済活性化のため、市内企業優先に発注すべきである。
2.市内企業の下請けとしての活用
→市内地域経済活性化のため、市内企業優先に発注すべきである。
3.分離・分割発注の見直し
→全体の発注量、バランス、コスト面を考慮した分離・分割発注、共同企業体を活用すべきである。

それから、支部全体からの意見として申し上げさせていただきます。
市内地域経済の活性化、また将来の市内企業発展を前提としたうえで、不良不適格業者の排除、技術と経営に優れた市内企業の育成・優先性、また市行政の合理化、効率化を追求するために横浜市入札・契約制度改革検討委員会、中間答申における方向性の提言には概して反対である。
さらに多方面からの意見を聴取し、しかるべき時間をかけ議論を取りまとめる必要があると考える。
以上でございます。よろしく。

司会 2番目に意見を述べていただきます、社団法人横浜市電設協会の藤澤光男様、よろしくお願いいたします。

藤澤 ご紹介をいただきました、社団法人横浜市電設協会の藤澤でございます。本日は設備業界を代表して、意見陳述の機会をいただき、誠に光栄に存じております。また、中間答申の作成にご尽力された、委員や事務局の皆様に心からの敬意を表するものでございます。
さて、4つの提言を骨子とした中間答申を拝見して、ここに3点ほど意見を述べさせていただきます。

まず、提言の一つに不正行為の防止策の構築を目指して、一般競争入札の対象範囲の拡大をあげておられる点でございます。ご案内のとおり、一般競争入札は、機会均等、公正性の確保の面で有効な手段であることは、説明を待つまでもないことであります。これは、地方自治法234条に定める、契約方法に関する原則として、良く知られるところでございます。
しかし、一方において、一般競争入札は行政側の手続きが煩瑣になり、経費も過大になることが避けられません。また、入札参加資格は有していても、その時の経営状態その他の理由から、競争を真剣に行う意思のないものが入札に参加し、公正な執行を阻害する恐れもあります。そのことを予想し、地方自治法は、指名競争入札制度を設けております。
指名競争入札は資本力や能力及び信用力その他について適当と思われる、特定多数の競争加入者を選んで競争させる方法であり、随意契約と一般競争入札の長所を取り入れた中間的な方法であります。言い換えれば、随意契約方式から一般競争入札方式に近くなるにつれ大きなリスクや負担を伴うことになり、一般競争入札の拡大は、4つの視点の一つに掲げる、工事の質の確保とは、二律背反の関係となるのではないでしょうか。
また、一般競争入札の拡大は企業規模の経済性、つまりスケールメリットが大きく働くことになり、一般的に規模の大きい企業ほど調達コストが小さく、受注価格の上で優位に立つことになります。いわゆる、資本集中型の寡占を招く危険があります。その結果、競争性が失われ、工事価格は高く維持されることも懸念されます。したがって、今回のような不正行為の防止策として、一般競争入札の対象工事を拡大する手法を採用することは、一方において失うものも多いことから、むしろ、指名基準や運用その他の手法の強化を図ることが適当であると私どもは考えます。

次に、提言4で示された、市内企業の活性化について申し述べます。
横浜市の一般会計は、税収の落ち込みにより数年来減少の一途を辿っております。とりわけ、平成15年度の税収の下落率は、戦後2番目のものとなることが懸念されております。平成15年度の歳入は1兆3000億円が見込まれておりますが、国庫支出金や地方交付金を除いた残りの85%が、地元から納付される市税収入や手数料その他であります。いわば横浜市の事業の多くは、市民や市内法人から徴収されたものを原資として執行されていることから、市外企業が横浜市の事業を受注し、それに伴う市県民税や事業税などの地方税を他の都府県に納税していることについては、多くの市民が違和感を感じていることではないでしょうか。市税の還元をさらに促進することで、市内企業の活性化を促し、また、安定した税収に道を開く意味においても、市内企業への発注を是非とも促進していただきたいと思います。

さて、最後になりましたが、提言の具体策にあげられた分離・分割発注の促進について意見を申し述べたいと思います。
私ども設備工事業は建築業などと並んで、建設業法第3条に定める独立した指定工事業ではありますが、発注者が工事を建築業に一括して発注されたことにより、長い間、設備工事は下請けの業種となっておりました。しかし、近年では分離発注こそが発注者の意向が直接反映されやすく、施工責任の明確化と工事にかかるコストの明確化が図れるなどの合理性が広く認められ、設備工事の単独発注が進んでおります。とりわけ、国や都道府県では、ほぼ100%が分離発注となっており、平成13年3月に閣議決定された適正化指針においても、設備工事などにかかる分離発注を適切に実施することを求めております。これらを踏まえて、今後引き続きご検討いただく最終答申では、これまでの分離発注への各界の努力の成果が決して後退することのない方向性を打ち出されるよう、強く期待するものであります。
なお、現在は未曾有の不況の中にあり、その打開のためにあらゆる場面で規制緩和が進められております。このことは、民間の活動に公権力が強く働いていたものを、本来の自由で節度ある企業活動を再生させることにあると考えております。しかし、そのような中にあっても、建設にかかる公共事業を所管する国土交通省に関しては、建設CALSの導入や、適正化法に見受けられる強い規制を受けることになり、疲弊しきった建設業に大きな負担をもたらしております。このような状況を見るにつけ、最終答申の策定にあたっては効果的でかつ簡素な提言を期待してやみません。

これで私の意見陳述を終わります。ご静聴感謝いたします、ありがとうございました。

司会 3番目に意見を述べていただきます、社団法人神奈川県建設業協会横浜支部 三木崇雄様お願いいたします。

三木 社団法人神奈川県建設業協会横浜支部長の三木でございます。検討委員会の皆様におかれましては、横浜市における新たな入札制度、契約制度の実現に向けて、短い期間にも関わらず、中間答申まであげていただいたことに対しまして、敬意を表する次第でございます。われわれ神奈川県建設業協会は、建設業法第27条によって届け出を行っている建設業者団体でございます。建設業者の社会的信用の向上、契約関係の改善により経済的な地位の向上を図ることなどを事業活動としている団体でございます。
横浜支部はこの協会組織の中にありまして、横浜市内を活動の基盤として全国展開をしております大手建設会社、並びに地元の中小建設会社133社で組織している団体であり、昭和31年に支部設立以来、企業規模の大小を越えて横浜の街づくり、業界の振興に、そしてまた横浜市との提携によりまして、市民防災の推進に取り組んでまいりました。このような50年に近い時代を乗り越えまして、現在の会員企業があるわけでございますが、これら会員企業は建設投資が公共、民事を問わず長期に低迷し、受注競争が激化している中、今回の入札・契約制度の改革に直面したわけであります。
公共事業につきましては、全国でおきている不祥事から国民の不信を受けているところではありますが、信頼される公共事業とは、本来その地域に根ざし、そして品質の確保されたものでなければならないと確信しております。昨今はとかく価格のみに注視する風潮がありますが、良いものをリーズナブルに、これが本来の姿でありまして、このために入札では、技術力、過去の実績を踏まえて、そのうえで業者の選定があるべきであろうと思っております。
そこで、中間答申に出された4つの提言と具体策について建設業界の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。

まず、提言のその1 不正行為の防止策の構築及び次の競争性・透明性の向上についてですが、提言の方向性といたしましては、やはり市民の目、透明性についてかなりアピールされているところです。しかし、果たしてそれがよい成果品を生み出す仕掛けとしての機能かどうか疑問に思えてなりません。例えば、1番目として、価格情報の事前公表では、積算努力もしない不良不適格業者の参入を生み、また、見積もりもなく応札することのできる企業としての正常な技術研さんを阻害し、長期的には企画力、施工能力にも影響をしてくるのかと懸念され、私たちといたしましては賛同しかねる提言であり、これは反対を表明させていただきたいと思っております。

2番目の一般競争入札の拡大についてですけれども、過去100年間にわたる指名競争制度の中で、建設業会が当然としてきたものを否定するものであります。このスピードの差を設けるべきではないかと思います。他の都市でも見られますように、何でもかんでも一般競争入札といった風潮には強く反対するつもりであります。良い仕事をして、そして次の指名に入るという、本来、業者としての努力をないがしろにしてしまうのではないか、と考えられます。

次に、提言3でございますが、工事の質の確保についてです。ここに工事成績の活用が上がっております。この提言につきましては、委員の方々というよりも行政がどういう形で取り組むかということを考えていただきたいと思います。品質をいかに契約に反映させるかということが、発注者サイドの責任であると考えております。

提言4の市内企業の活性化ですが、地元企業への優遇が引き続き検討ということになっております。裾野の広い市内建設業界への優遇策は、地域の経済・社会の発展に欠かすことのできない存在として、インセンティブが働く方向へ是非導入をお願いしたいと存じます。

最後に、指名停止措置の厳罰化、不正行為の抑止策でございますが、不祥事を背景としての入札・契約制度の改革では、とかく過度の罰則規定という方向に流れることがあります。今回の改革におきましても、厳罰化の方向が答申をされておりますが、不正行為はあってはならないというのは当然であります。しかし、企業を抹消するのではなくて、再び企業活動が可能になるような措置を是非ともお考え願いたい。

以上、神奈川県建設業協会横浜支部としての要望でございますので、よろしくお願いいたします。

司会 4番目にかながわ市民オンブズマンの大川隆司様お願いいたします。

大川 おはようございます。神奈川市民オンブズマンという団体の代表幹事をしております、弁護士の大川と申します。市民オンブズマンというのは、一言でいうと、税金の無駄遣いをやめさせようという観点から行政を監視する市民の任意団体ということで、格別根拠法みたいなものはありません。まったくのボランティア団体であります。もう7年くらいこの団体をやっておりますが、そういう私どもの観点から中間答申に関する意見を述べさせていただきたいと思います。
中間答申は非常に多岐にわたっていますけれども、私が今、強調したいのは、発言要旨の中に書いておりますように4点でございます。いずれも、入札における競争性を強化するという観点から、実効性のある、具体的な提言を、答申をお願いしたいという観点からのものであります。

第1点は一般競争入札の対象範囲の拡大ということであります。中間答申では対象範囲を拡大すべきであるという方向性は打ち出されておりますけれども、私が申し上げたいのは、これをもっと具体的に、例えば入札予定価格500万円以上は原則として一般競争入札とする、というようなことを提言していただきたいと思います。500万円というのは、実例によれば、宮城県の場合は1000万円以上、長野県の場合は250万円以上が一般競争入札となっていますので、その中間あたりはどうだろうかという趣旨であります。
一般競争入札の中には、公募型指名競争入札と申しまして、一応指名権は行使されますけれども、欠格条項のない限り手を挙げた業者は必ず指名されるという、実質的な一般競争入札を含むという趣旨であります。
なぜ、こういう提言をするかと申しますと、なによりも一般競争入札というのは法律で定められた原則であるからです。地方自治法にも会計法にも一般競争入札が原則であると明記されております。指名競争入札というのは、一般競争入札をすると、発注者にとってむしろ不利になるというような例外的な場合に初めて許容されるという建前であるからであります。残念ながら今は原則と例外が逆転してしまっている。これをやはり是正するべきであるというのが理由の第一であります。
理由の第二は、やはり残念ながら、今全国的に見ますと受注調整と称する談合が蔓延していると言わざるを得ないと思います。こう申しますと、警察も公正取引委員会も横浜ではまだ動いてないではないか、という言われ方をする向きもあるかと思いますけれども、疑惑というのは白か黒かという風に截然と分かれるものではありませんで、いろいろな濃淡の度合いがあると思います。事件として立件するに足るほどの疑惑というものもあれば、そこまでは行かないけれども、やはり発注者として自己防衛を考えなければいけないのではないかという決断をするに足りる程度の疑惑というものもあると思いまして、まさに、その後者の意味では全国的に大変談合が蔓延していると、横浜市も例外ではないと思わざるを得ません。
後ほどお手元の資料を良く読んでいただければよいのですが、資料1は、私が関係しております団体が、今年、平成14年度の入札調書を全国的に集めました。1億円以上の工事について、都道府県、政令市、県庁所在地の入札調書を全部集めまして、それを分析したものが資料1でございます。例えば、改革が年度末にありました長野県はちょっとおきますけれども、2年前から一般競争入札に移行しました宮城県の場合、1億円以上に限れば、落札率が86%、もう少し1億円以下のものを含めますとだいたい80%という落札率が出ております。それに対して、おおかたの都道府県はだいたい95%前後、横浜市も例外ではありません。競争性をあげればこれだけ差が出てくる。ということは、95%だの98%だというところは何をやっているんだ、という疑問が当然生じる訳であります。
政令市で見ますと、差し上げました資料の6ページになりますが、千葉市が落札率は他より一番低くて88%となっております。これは残念ながら制度改革の結果ではなくて、公正取引委員会の手入れがあったからです。公正取引委員会が平成13年11月に立ち入り検査をいたしまして、千葉市内のAクラスの業者120社ほどが対象になりまして、昨年10月に排除勧告が出ました。平成14年度というのはまさに公正取引委員会の審査を受けている真っ最中で談合どころではなかったという環境が、88%という落札率をもたらしたという風に言えると思います。
このように制度改革が進んでいるところとしからざるところ、あるいは公正取引委員会の手入れがあったところとしからざるところ、そういうところでこれだけ落札率の差が出てくるというのは、落札率が高いところではやはり、受注調整がかなり活発に行われているというように見ざるを得ないわけであります。
それから、時間がないので端折りますけれども、資料の16ページを見ていただくとわかるのですが、これは現に公正取引委員会で審判手続きが進行しております、東京都新都市建設公社が発注した工事の落札率分布を絵にしたものです。東京の三多摩地区の下水管の管きょ敷設工事という、全部同種の、ほぼ同規模の工事が主として、主としてというかほとんどの中身なのですが、まったく同種同規模の工事でありながら、落札率が100%に貼り付く工事と最低制限価格による80%の工事と、この2種類しかないといって良いほどです。中間は本当に星の数を数えるほど小さいわけですね。
つまり、どういうことかと言いますと、業者間の受注調整がうまくいったケースと談合が崩れたケースと、この2つしかない。それで天と地がわかれると、こういう構造があります。これほど顕著ではなくても、横浜市の場合も、神奈川県の場合も、落札率分布を見てみますと、やはり95%より高いところに一つのピークができる。それから最低制限価格ゾーンにもう一つのピークができる。その途中は非常に少ないと、こういうふたこぶらくだのような落札率分布というのができます。そういうようなことを見ても、やはり談合というものを強く疑わざるを得ないわけであります。
落札率が80%だ70%だというと、これはあまりにも安すぎるのではないか、その方が異常ではないか、という声をよく聞きますが、それは入札予定価格が適切なものだという想定にたつからそういう理論が言える訳です。入札予定価格そのものに大変問題がある。異常に高く設定されているのではないかということが昨今、これは私どもが言うのではなくて、官庁当局の方からもそういう認識が出ています。例えば、端的に言いますと中部国際空港の工事費。これが一般的には国の直轄工事の、国が直接発注する工事よりも、2割から4割安い資材を購入してやっている。それを財務省などが調査されております。それはまあ、あれだけの大規模な工事だから規模の利益というものがあるのだろうということはもちろん考えられますけれども、比較しているのは国の直轄工事ですから、国の直轄工事にはそんな零細の工事なんかありません。大きな工事という同じグループの中で見てもですね、民間からトップが入った中部国際空港の建設会社と一般の官庁工事との違いというのがはっきりしているわけであります。そういう諸々の観点から、やはり、予定価格という非常に高い天井の中で、談合が蔓延している。予定価格の問題もさることながら、やはり談合ができない、しにくいシステムというものを大幅に導入するべきであるということが第1点で言いたいことであります。
こう申し上げますと、工事は安ければ良いと言うのか、安かろう悪かろうという言葉もあるではないか、ということを言われます。これについては、宮城県が実証的な調査をしております。資料10ということで、お手元の資料の24ページに図表が出ております。宮城県は平成13年の4月から制度改革をしておりまして、平成13年、14年の両年度にわたって当該工事の落札率と、工事が終わった後の工事成績の評点との関係を調べました。ここにあるのは平成14年度分でございます。ご覧になってわかるように、落札率が低い工事は工事成績が低いという相関関係が仮にあるといたしますと、この点々は右下がりの傾斜になっていなくてはおかしい訳です。落札率が100%に近いものは工事成績が100%に近い、落札率が下の方にあると工事成績も右の方の低い方の点数になる、という法則性がないとおかしいのですが、そういう訳ではなく、安くてもよい成績の工事はあるし、高くても成績の芳しくない工事はある。両者の間には相関関係がないということが言える訳であります。
私どもは何も安いのだけが取り柄だとは申し上げていない。同じ品質のものを買えるのであればできるだけ安く買うべきだと。賢いバイヤーであるべきだと言っているにすぎないだけです。
それから、一般競争は不良不適格業者の参入を招くということもしばしば言われますけれども、公共工事のいうのは一見の業者が来てとっていくということは滅多にないものでありまして、継続してその業界で仕事をされている方がエントリーされる。そうすると、原則として、その業者の仕事ぶりというものを見ながら、これは不適格であるかどうかということは発注者の方でわかるわけですね。そのうえ、最近では、全国の総合工事成績データベースというものを国土交通省がごく近い将来構築するということもおっしゃっております。不良不適格業者の参入を招くとか、事務が輻輳するということはこの時代において、考えにくいと思います。
以上のように一般競争入札を、是非、具体的な数字で、例えば500万円以上の工事は一般競争入札に、事実上の一般競争入札でやるという提言をしていただきたいと思います。

第2点は地域要件、少なくとも行政区割りの地域要件というものは撤廃しなければならないと考えます。
地域要件の設定というのは地方自治法施行令で、入札を適正にかつ合理的に行うために特に必要があるという場合に初めて設定できるわけであります。横浜市内の業者の数は1700〜1800くらい、あらゆる工種を入れるとあると思いますけれども、3500社を擁している長野県、宮城県というところで、全県1区という県内の間仕切りというものを取っ払っております。長野県の場合は8000万円以下の中小規模工事については4ブロックに分けておりますけれども、ブロックに分けても1000社以上いるわけであります。それに比べまして、横浜の場合300万都市といいましても、18区ごとに分かれて、ごくわずかの数の業者の中だけで、調整がされ得るような規模の中で発注がされるというのはまったく考えものだと思います。

第3点は最低制限価格制度ですが、これは撤廃していただいて、すべて低入札価格調査制度に一本化するべきであるというのが私どもの提言であります。本来、機械的な足切りラインというのは設けるべきではないというのが会計法の趣旨なんです。ですから国の発注工事においては機械的な足切りラインというのはありません。すべてケースバイケースで、異常に低い札が入ったら、「それで大丈夫か」ということを個別に調査して、それでよければゴーサインを出す、とこういうシステムであります。
地方自治法でなぜそういう制度が当初入らなかったかというと、やはり国と比べて地方はそういう調査能力が発注機関の側に乏しいであろうということで、機械的な足切りラインを作らなくてはならないというのが立法趣旨としてありましたけれども、それも今日の地方自治法施行令の考え方では廃されまして、原則は国と同じように低入札価格調査制度であり、ただ、特に必要があると認められるときは、従来型の最低制限価格制度を導入することができるという考え方になっております。零細な市町村ならばいざ知らず、横浜市ほどの大きな発注者が国と同じように個別に低入札価格調査ができないなどという理屈はない訳であります。
現に仙台、名古屋、広島などの政令市では、最低制限価格制度をとっておりません。県レベルでも埼玉、長野、富山、岐阜、愛知、山口、愛媛と、こういうところは最低制限価格制度をとっておりません。資料に一覧表がございますのでご覧ください。そういうように法の建前にも反するし、現に最低制限価格という自動的な足切りラインをとっていない自治体が相当出ている。そういう中で80%とか85%とか、その高さも問題ですけれども、そういうところで自動足切りラインを設定すると、これはまあ本当にその優良な業者を排除してしまうという結果になると思います。そういうことで、この低入札価格調査制度に一本化していただきたいと申し上げます。

後は、ごく簡単にします。
第4点は、談合情報処理のあり方ということで、要するに白か黒かというものはなかなか判定しにくいけれども、グレーだというゾーンがあり得る。談合があるという恐れが否定できないで、適正な入札の執行を期する必要がある場合、これは宮城県の談合調査マニュアルにある言葉をそのまま引いたのですけれども、グレーの場合はですね、要するに談合という風に決めつける必要はないけれども、もっと参加者の範囲を広げて入札をやり直す。是非柔軟にこういう制度を導入していただけたらば良いのではないかと思います。
要するに私どもが申し上げたいのは、発注者というのは別に業者をいじめる必要もない。談合を摘発することが任務ではない。ただ、市民、国民の税金を預かって運用する賢いバイヤーであって欲しい。そういうことにつきる訳であります。そういうコンセプトで制度というものを設計していただきたいというのが私どもの意見であります。
ありがとうございました。

司会 まだ若干時間がございますので、他に発言をなさりたい方がいらっしゃいましたら、お手をあげていただけますでしょうか。お二人でよろしいでしょうか。それではお一人10分ということで、お願いしたいと思いますが、順番は前の席の方からどうぞ。まず、所属とお名前をお願いしたいと思います。

田中 10分もかかりません。私はこの神奈川県で働きます建設職人の労働組合で、もちろん公共事業にも関わっておりますが、5万人ほどで組織しております、神奈川県連の神奈川土建の田中と申します。貴重な時間をいただきまして、10分もかかりません、すぐに終わります。
今回の制度の問題について、是非先生方に視点として、われわれ建設労働者ですし、横浜市民も多いので、そういったところで考慮していただきたいということを2,3点だけ述べさせていただきたいと思います。

公共工事の問題については、汚職、談合、手抜き工事というイメージがあります。そういった中で、いわゆる入契法の制定がなされたのだと思います。今、国が公共工事においてコスト縮減改革プログラムというのがあって、公共工事自体が経費の面で縮減されようとしているといった中で、横浜市の公共工事が、横浜市民にとって理解されて、利益を享受できるような公共工事にしていただきたいという観点から話します。
今日は業者の方が多くいらっしゃいまして、民間工事の中では、非常に経費が削減されている。安全経費、品質の問題、周りに対する環境の整備が非常に削られているというのがわれわれ4次5次の末端労働者の声の中からも聞こえています。
そういった意味で公共工事というのは積算していますから、品質の問題、環境の問題、安全の問題、引いて言えばわれわれ労働者の賃金や、労働条件の確保もできるという工事だと思います。そういった意味で公共工事の入札の問題についても、基本的に入契法という法律があって、その中で建設業法がありまして、その中に参議院の附帯決議の中に、そこに働く建設労働者の賃金や労働条件が確保されることと明記されています。発注者の責任として、やれるような形を作って欲しいと思います。
積算をされて入札されるわけですから、横浜市の方でも、そういった意味では、その積算というのがきちんとした形の調査のうえで、されているわけですから、その積算を無視したような形でのダンピング発注、また受注というのは、積算した横浜市自体が、積算した努力を無にして、事実上の責任放棄だと思います。受注後に積算内容を公表することも含めて、そういったことを公表していただきたい。
実態としては先程大川先生の出された資料を見ましたが、1次2次に対しては公共工事の方が単価が高いと言われます。しかし、われわれが今回行った調査においては、実際の最終下請労働者だと公共工事の方が低いというところが出ています。そういった意味で、公共工事においてきちんと横浜市が施行体制すべてを管理して欲しいと思います。今、横浜市の職員が少なくて、今日出された意見を執行するには執行体制の整備をきちんとしなければ有名無実化になってしまうのかもしれない。どういうことが行われても、横浜市の方でのしっかりした整備を、公共工事の施工において管理できる体制を作っていくということが必要だと思います。

短い時間ですが、後はパブリックコメントの方で出させていただきますので、この視点と公共工事のあり方についても、ご考慮のうえ、検討を進めていっていただきたいと思います。貴重な時間をありがとうございました。


司会 それでは後ろの方どうぞ。

矢後 私は今年2月に発生した元佐藤市会議員の公選違反事件、入札妨害事件について市民の側から正そうと、会を結成いたしました。入札妨害の真相を究明する会の矢後と申します。
私は、この事件は起こるべくして起こったと思います。政官業の癒着体制が発生させたものであると思います。そういう点でこの機会に、業界だけではなくて、幅広い市民の意見をそれぞれ聴いて、市民から不信を抱かれないような公共事業のあり方、そして、市民のための公共事業、そういう方向に向かって抜本的な制度改革を行っていただきたいということを申し上げたいと思います。

具体的には、一つは一般競争入札制度の問題ですが、これについては答申の中にあるように、原則的にすべて一般競争入札にすべきであると、ただその中で先程業者の方から、そうすると一部の資本力がある業者に集中するのではないかという心配があるのではないかと言われましたけれども、そういう心配を無くすためには、長野でも、あるいは横須賀、先程大川先生が言われましたけれども、制度改革をやっているところでは、条件付き一般競争入札ということになっています。その条件の中に一部の業者が集中しないように、手持ち工事制限だとか、あるいは工事規模によって、小さい工事については大手は参入できないとか、そういういくつかの条件を付ければそういう心配はなくなると思います。
横浜市の場合、私たちが過去3年間の1億円以上の入札てんまつ書をすべて調べました。そうしたら、驚いたことに、そのうちの42%が2回入札が行われてますが、1位不動は1件を除いてすべてそうです。これは談合がなければあり得ない、そういう結果ではないかと私は思います。そういう点で幅広い業者が参入できる一般競争入札に、原則的にすべきだと思います。
今回の事件では、口利きがあったということでこういう汚職事件が起こったわけですので、こういうことが起こらないように入札予定価格、今は1億円以上ですが、これについても原則的にすべて事前公表すべきであると思います。今回は最低制限価格を教えたことによる口利きであったわけでありますが、それを無くすためにも、先程これは撤廃ということもありましたけれども、そういう風にするか、あるいはダンピング防止という意味でそれが必要であれば、これについても原則的に公表すべきであると、そうすれば口利きというのは防止できると思います。

それから市内工事発注、これを優先すべきだというのは、それぞれ皆さん一致しているので、一層そういうことでやっていただきたい。
分離・分割発注についても、これはなるべくそういう方向を拡大すると、そのことによって中小企業の活性化につながっていくと思います。
さらに、入札制度以外の問題を2点ばかり申し上げたいと思うのですが、今回の口利き調査の中に、市会議員の次に多いのが市職員OBということになっています。これはOBを定年退職の1年前に退職させて、関連業界に送って、関連業界はOBの過去の経歴を使って受注を図る、こういうことがやられているわけで、こういうことを無くすためには天下りについて禁止すべきだと思います。

最後に公共事業のあり方の問題で、これはよく言われていることですが、大手のゼネコンだけが受注する高速道路、あるいは大きな港づくり、そういうところにどんどん仕事を持っていっても産業の発展にはならない。同じ1億円を使うのであれば、2倍3倍の効果が、保育所をつくるとか、特養ホームをつくるとかの方があると言われている訳なので、こういう公共事業の発注の仕方を生活密着型に切り替えていくことが必要であると思います。
ところが、昨年から今年の予算を見ますと逆になっている。大規模公共事業の比率の方が高まっている。生活密着型の方が少ないわけです。こういうことではなくて、市民が本当に望んでいるのは大規模開発ではなくて、身近な公共事業だと思いますので、そういう方向に切り替えていただきますように、これは直接検討委員会の課題ではないと思いますが、横浜市としても、検討していただくようにお願いをいたしまして、私の発言とさせていただきます。よろしくお願いします。

司会 今日ご発言いただきました皆様、本当にありがとうございました。それでは最後に村上委員長から一言申し上げたいと思います。

村上 本日は様々な観点からのご意見をいただきまして、本当にありがとうございました。
本日いただきましたご意見につきましては、12月に予定しております最終答申の取りまとめにおいて、参考にさせていただきたいと思います。意見をまだ延べ足りないという方その他につきましては、現在行っておりますパブリックコメントや事業者アンケートを活用して、さらにご意見をいただきたいと思っております。
いずれにいたしましても、われわれは、今いただいたご意見を参考にするとともに、さらにこの問題を検討して最終答申を取りまとめていきたいと考えております。
どうも本日はありがとうございました。


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財政局契約部契約第一課 - 2004年8月2日作成
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